ことばのたからばこ

溢れたことばを綴ります。たからばこにそっとしまうように。

雪のひとかけ

 

 

雪のひとかけになりたいのです。

 

 

たしかに、あるのに。

 

 

触るとふっと溶けてしまう。

 

 

じっとながめていると。

 

 

結晶のひとつひとつがかがやく。

 

 

お日さまの光をあびて

 

 

ここぞと言わんばかりに胸をはって

 

 

全身でかがやく。

 

 

そして、とける。

 

 

その冷たさとは裏腹に、あたたかさを遺して。

 

 

そこに冷たい染みを作ったあとは

 

 

ただじっと全ての水分が消えるのを待つ。

 

 

そうして跡形もなく消える。

 

 

その命はたったの5分かもしれない。

 

 

でも、そのキラキラと輝いた結晶のひとつひとつは

 

 

しっかりと空に還り、

 

 

綺麗な空をつくる。

 

 

そうやって

 

 

ひっそりとかがやいて、ひっそりと儚く消えるような

 

 

そんな雪のひとかけになりたいのです。